日本の製造業の品質は、アメリカでも強みになります。
ただ、品質が高いというだけでは、取引にはなかなかつながりません。
私たちAssista LLC.は、イリノイ州シカゴ近郊を拠点に、
日本企業の米国進出と販路開拓を支援してきました。
その中には、米国で見つかった製品の品質の課題をきっかけに、
日本のメーカーとの取引が始まった事例があります。
この記事では、当社の成功事例から3つを取り上げ、
品質の課題への対応が受注や採用につながった経緯をお伝えします。
なお、本記事で扱うのは、米国工場での作業改善や改善指導の手順ではなく、
米国で見つかった製品の品質の課題に、日本のメーカーが対応して取引につながった事例です。
品質の課題の見つかり方は、事例ごとに異なる
米国の顧客が抱える品質の課題は、さまざまな形で見つかります。
顧客から直接相談が来ることもあれば、取引先から代わりの方法を求められることもあります。
こちらが店頭で製品を見て、問題に気づくこともあります。
ここで紹介する3つの事例も、それぞれ課題の見つかり方が異なります。
事例1:ステンレス鋳造品の欠陥によるガス漏れ(顧客からの相談)
米国内の企業で使われていたステンレス鋳造品に、巣穴や引け巣などの欠陥が見つかり、ガス漏れが発生しました。
ガス漏れは最悪の場合、爆発事故につながるおそれがあるため、新しい取引先となるメーカーの紹介を求められました。
私たちは、日本のステンレス製継手の市場でトップメーカーであるI社に相談しました。
工程の改善と徹底した品質検査を行い、ステンレス鋳造品で起こりがちな巣穴や引け巣などの欠陥を
最小限に抑える体制を整えました。
成功事例ページでは、I社の実績として次の内容を紹介しています。
- 歩留まり99.9%以上を実現し、不良品を流出させないことで、従来の取引先の製品からの置き換えに成功
- 工場監査を経て、納入先から正式なベンダーとして認定
- サプライヤーアワードを5年連続で受賞
- 米国での売上は18億円超(成功事例ページの注記:2019年度実績を含む)
詳しくは、I社のステンレス鋳造品の品質課題に対応した事例をご覧ください。
事例2:エアバッグ作動時にエンブレムが割れる問題(取引先からの相談)
アメリカで衝突事故が起きた際、運転席のエアバッグが開くと、
エンブレムが運転手の顔を傷つけるという問題がありました。
エンブレムが固い樹脂でできていたため、エアバッグが開いたときに、
とがった形で割れてしまうことが原因でした。
この事例では、ゴム素材に変えると、とがった破片による問題には対応できるものの、
たわみによって細かいヒビが入り、外観の不良になるという課題がありました。
そこで、現地のTier1企業から代わりの方法について相談がありました。
私たちは銘板制作とスクリーン印刷を手がけるS社と協力し、
材料と表面加工の組み合わせを「ABS+メッキ」から
「エラストマー+スパッタリング」に変える提案を行いました。
成功事例ページでは、この組み合わせにより、曲げたときのヒビと、
衝突時にエンブレムが運転手を傷つける問題が解消されたと紹介しています。
S社はこの製品で受注に成功し、競合からの置き換えにつながりました。
詳しくは、S社のエンブレムの品質課題に対応した事例をご覧ください。
事例3:店頭で見つけた操作パネルの印刷はがれ(当社からの提案)
3つ目は、私たちから提案した事例です。
当時、米国の家電量販店の店頭で確認した洗濯機や乾燥機には、
操作パネルの角の印刷のはがれや、ロゴやスイッチの立体的な部分の意匠のずれが見られました。
私たちは量販店の店頭で、競合製品を含めた品質を観察し、改善を提案しました。
スクリーン印刷を手がけるS社(事例2のS社とは別の企業です)にパネルの試作を依頼し、
米国の大手白物家電メーカーを訪問しました。
そのメーカーでは当時、印刷のはがれや意匠のずれは、大きな問題とはみなされていませんでした。
しかし、はがれやずれが一切なく、立体的な意匠がきれいに圧着されたS社のパネルを見た品質責任者は、
「今まで目に入っていなかった問題に気づかされた」と、S社の技術力を高く評価しました。
その結果、洗濯機・乾燥機・電子レンジの量産品にS社の製品が採用されました。
詳しくは、S社の家電操作パネルの品質課題に対応した事例をご覧ください。
3つの事例に共通すること
具体的な品質課題から出発している
事例1・2は相談を受けたこと、事例3は店頭で品質の問題を見つけたことがきっかけでした。
課題を把握した経緯は異なりますが、いずれも具体的な製品の品質課題に対応した事例です。
事例2・3の成功事例ページでは、「見る」ことを成功のポイントとして挙げています。
課題への対応を、具体的な形で示している
事例1では、工程改善と品質検査によって欠陥を最小限に抑える体制を整え、既存の製品からの置き換えにつながりました。
事例2では材料と表面加工の変更を提案し、事例3では試作品を通じて品質の違いを示しました。
品質課題への対応が、取引・採用につながっている
事例1・2では、既存の製品からの置き換えにつながりました。
事例3では、洗濯機・乾燥機・電子レンジの量産品への採用が決まりました。
米国と日本で異なる、品質の受け止め方
米国と日本では、品質の受け止め方に違いがあります。
米国では当然とされている品質の「限界」が、日本ではより厳しく判断される傾向があります。
顧客が気づいていない品質の違いを示した例
事例3では、顧客が大きな問題とみなしていなかった印刷のはがれや意匠のずれについて、
試作品を通じて違いを示しました。
品質責任者がその違いを評価し、量産品への採用につながった事例です。
展示会の場で、製品の利点を数字やデータで伝える方法については、
アメリカの展示会出展を商談につなげるにはでも解説しています。
正式なサプライヤーになるための工場監査
事例1のI社は、工場監査を経て、納入先から正式なベンダーとして認定されました。
米国の顧客の工場監査では、かなり厳格に審査されます。
監査にのぞむ前に、次のような準備をしておくことが大切です。
- 作業マニュアルなどを整備し、実際にそのとおりに作業する
- 品質検査の基準を、全従業員に分かるように掲示する
- 社内でできる改善は、監査の前に済ませておく
また、監査で指摘された事項は、期日までに改善することが大切です。
Assistaの支援
ここで紹介した事例で、私たちは次のような役割を担いました。
- 米国の顧客から寄せられた品質の課題に対し、日本のメーカーを紹介する
- 現地の取引先からの相談をもとに、日本のメーカーと協力して代わりの方法を提案する
- 米国の店頭で品質の問題を見つけ、日本のメーカーに試作を依頼して、米国のメーカーに提案する
日本のメーカーの技術を、米国の顧客の課題と結びつけるところから支援しています。
まとめ
今回紹介した3つの事例では、具体的な製品の品質課題への対応が、日本のメーカーの取引・採用につながりました。
これらは個別の事例であり、同じ方法による受注を保証するものではありません。
自社の技術が米国のどんな課題に役立ちそうか、まずは相談したいという段階でも承ります。
初回のご相談は無料です。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
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